デザインのことば

マルチメディア/Multimedia

マルチという英語の接続詞は、マルチ商法やマルチタレントというように日本人にはなじみ深い言葉であり、英語においても、広範囲かつ多様に使用される。マルチメディアもそうした言葉であり、元来はコンピュータ用語である。コンピュータ上で、文字・図・写…

まちづくり/Town development

一般的には、住民主体の地域開発と地域つくり、新しいコミュニティーの形成運動を示している。対概念であった「むらづくり」に対する、都市機能を持つ市街地でのコミュニティの形成という意味がある。この場合には、「街づくり」という表記を用いることが多…

マスコミュニケーション/Mass communication

「新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・映画などのマスメディアを通して、大量で均一的な情報(メッセージ)を不特定多数の受け手に伝達するコミュニケーション、およびその現象を示している。パーソナルコミュニケーションと対比することで、その特徴は明解になる…

マーチャンダイジング/Merchandizing

「商品化計画」が正しい訳語である。しかし、一般的には、マーケティングと同等とされたり、マーケティングを市場要請への対応と考えるのに対して、販売流通への対応という意味とされるなど、定義の混乱や曖昧さが見られる。 商品化計画とは、企業が競合他社…

マーケティング/Marketing

売り手と買い手による商品交換の現場を市場、つまりマーケットと言う。その場での各種取引の行動をマーケティングと呼ぶ。マーケティングは市場での営為行動全般を示す言葉であり、すでに日本語になっている。例えば、マーケティングリサーチ=市場調査とい…

暴力/Violence

この言葉は、あまりに幅広くそして曖昧に用いられている。しかし、その曖昧さのなかで、暴力の構造は、人間社会における最大の問題である。その質は変貌と拡大を遂げてきた。戦争は暴力の世界的な形式である。と同時に、家庭内暴力やいじめなど、その形式は…

ポストモダン/Postmodern

元来は、近代建築を乗り越える様式を示す言葉として登場した建築用語であり、1970年代、建築評論家のチャールズ・ジェンクスらの著作によって注目されるようになった。近代建築によって失われた装飾やさまざまな歴史的様式を混成した、新たな建築のスタイル…

ポピュラー文化/Popular culture

この言葉はすでに死語に近いかもしれないが、その訳語は大きな意味を持っている。一般的には「大衆文化」「通俗文化」が定訳である。しかし、ここで大衆と通俗との関連を定義しなければならない。英語におけるポピュラーとは、労働者階級から中産階級の人々…

本能/Instinct

本能とは、生まれ持った行動やそのタイプ、あるいは行動能力とその傾向という意味で使われることが多い。非理性的、衝動的行動やその傾向を意味している。英語のinstinctの語源は、ラテン語で内側・内面からの強い衝動という意味のInstinctosである。人間は…

防衛/Defense

日本は敗戦後、「防衛」というマニフェストを最も大切にしてきた。それは戦争放棄をシンボル化する。わが国にとって重大な意味のある言葉である。この言葉に国家的言説と政策の根本がある。そして、最も議論を集中させてきた政治理念である。防衛とは外部か…

ベクトル/vector

本来の数学用語としてよりも、一般的な会話で使われる言葉になっている。数学的に説明すると、物を動かそうとするときには力が必要である。これには押す力と引く力があるのだが、押すのと引くのとでは、全くその効果は異なる。つまり、力には、方向とその大…

平和/peace

戦争に対する社会科学的な知識の豊富さに対して、平和についての人類学的な知識の落籍 は極めて過小であると言わざるをえない。戦争の歴史は著述されても、平和の歴史が語られることはなかった。こらはとりもなおさず、戦争への情動が、芸術表現やデザインに…

ヘルスケア/Healthcare

一般的には、そのまま「健康管理」を意味するが、改めて健康について定義、そのうえでの管理という範疇で、この言葉を定義しておく必要がある。世界保健機関憲章では、その前文で「健康とは、完全な肉体的、精神的および社会的福祉の状態であり、単に疾病ま…

編集/Editing

かつては「編輯」という文字が用いられていた。「輯」は車輪の中心に車副は集まり車輪を構成していることを表していた。これに集めるという意味があったため、「輯」という字が用いられたのである。「編集」という表記になる、第2次大戦後、当用漢字が適用さ…

弁証法/Dialectic

仮説的命題をまず掲げる。その仮説から、ある帰結に至れば、それが仮説的命題そのものの当否を決定することになる。弁証法とは、この論理的手法・対話による仮説演繹的な問答法を意味する。ソクラテスの問答てき対話術からプラトンは、公理的な前提を基にし…

福祉/welfare

この言葉が、杜会制度や国家形式に対して要求している内容は、今やあまりにも拡大している。そのため定義が多様になりすぎることで、元来の意味が希薄となり、ある種の定義の混乱が見られる言葉、あるいは用語である。本来は「すべての杜会構成員の幸福」と…

フィロソフィー/Philosophy

Philosophyは、ラテン語あるいはギリシア語のphilo冊phiaを原語としている。philo50phiaの原義は、「さまざまなことがらとその原因に関する研究と知識」であり、「知に対する愛」という意味があった。この知に対する愛からさらに派生し、時代的な変遷を遂げ…

ファッション/Fashlon

「流行」を意味する。初期のfad(一時的流行)という少数者による支援の段階を経て、中長期において「誰もが追随する」ことになるという風潮であり、経済的な消費志向を意味している。特に、日本では服飾市場の用語という感が強い。生活の基本要素である衣食住…

文化/bunka

文化=cultureは、ラテン語で「栽培」「耕作」「世話」「飼育」などを意味するcultusに由来するが、さらにcultusの元となるラテン語のculterにまで遡及すると、「刃物」「鋤」「鍬」という意味に至る。このモノを指し示す原義こそが、本来、英語のcultureの定…

ブランド/bland

家畜に焼き印を押す=brandingを原意として、銘柄や商標という意味を持つ。商標とは、商品価値を明示し顕示する目印のことである。この目印そのものが、資本主義経済においては、価値の分類や選択のための基準となってい?つまり、商品の形式と内容における使…

ヒューマニズム/Humanism

ヒューマニズムとは、西欧ルネッサンス期に古典的学芸の復興を通じて、人間性の陶冶を目指そうという機運から発生した。そうした機運が展開する流れは、主に2つの系譜を形成していった。まず一般的には、人間の本性=人間性に関わる事象への関心と愛情を一義…

ヒューマン・ユーザー・サイエンス・アドバンス・テクノロジー(HUSAT)/Human user science advance technology (HUSAT)

この技術概念あるいは技術工学は、エルゴノミクス(人間工学)をベースとしており、英国でその専門家を養成するためのカリキュラムであり、設計工学であった。特に、プロダクトデザインのエンジニアリングとして1970年代から進展してきた。最近では、ESR(Ergon…

ヒューマン・ファクター・エンジニアリング/Human factor engineering

エルゴノミクスとは、「人間工学」と訳語され、人間と機械との「使い勝手」を探求する工学領域であり、第一次世界大戦当時に生まれた学問である。この学問が目指したのは「効率性」と「安全性」であり、軍事技術開発の背景となった。第二次世界大戦後、ヒュ…

美術/fine art

フランス語のボーザール(beaux art)や、英語のファイン・アーツ(fine art)などの直訳で.ある。明治初期から用いられるようになった言葉だが、美術という概念の輪郭は未だに曖昧であると言わざるを得ない。明治時代には、美の表現を目的とする芸術として、絵画…

美学/aesthetics

哲学の一分野である。ドイツ語のAsthetikの訳語であり、「美についての学問」というような合成語ではない。1889年東京帝国大学文学部に「美学講座」が開設され、以後、同様の講座や学科が他大学に設置されていったことで、呼称として一般化した。学問的な体…

バーチャル/Virtual

この言葉はバーチャルリアリティ=仮想現実という言葉とともに日本語として定着している。Virtualとはラテン語に由来している。Viとは、Vital=生命力や力のViであり、「2つの」を意味するviでもある。そこから、「実際的」「実質的」「事実的」という意味だけ…

パフォーマンス/Performance

多領域にわたる言葉で、「実行」「遂行」「性能」「実績」「演奏」「演技」「挙行」など、広範な意味がある。しかし、これらの意味とは異なり、既存の価値観を破壊するような芸術的行動や社会的営為までを指す幅広い概念用語となっている。特に、パフォーミ…

パターン/Pattern

この言葉は洋裁の型紙という意味から、日本語になっていったように、一般的には、模様や図案という二次元的な意味が大きかった。しかし、今ではパターン認識という情報科学的な術語でもあり、文字や図形などの識別の対象を指す。もっと広義な意味では、時間…

パラドックス/Paradox

ギリシア語が語源で、para(超える・反する・外れている)と、doxa(思考・通念)からなる合成語である。一般的に、認識として「正しい」と思われていることに対して、その反対の認識を「逆説」「逆理」「背理」と呼ぶ。こうした認識をパラドックスと言っている。一…

ノイマン型コンピュータ/The von Ncumann-type computer

実現され稼働しているほとんどのコンピュータが、このノイマン型という方式である。1946年、数学者ジョンーフォン・ノイマンが、当時軍事機密として開発されていたコンピュータ「EDVAC」の論理的側面をまとめた論文を独断で発表したため、世間的にはノイマン…