ゆらぎ[Yuragi (Fluctuation)]

一般的には、物事の基板がぐらついた、ゆらいでいるというように、何らかの危うい状況の要素ではなく、要因を意味している。そこからさら、既存の発想や、枠組み的な考え方では解決や処理できない現象のことを言う。かつての科学観では、平衡状態、つまりバ…

ユーモア[Humor]

この「デザインのことば」で、ユーモアを定義すること自体は、ユーモアなのだろうか?という問いかけのなかに、ユーモアの本文が宿っていると私は思う。 ラテン語の「体液」を意味するhumorから生まれた言葉である。その体液の流れが、ある種のバランスを失…

ユニバーサルデザイン[Universal design]

この言葉が、日本で流行語に鳴ったのは、1997年のグッドデザイン賞(Gマーク)において「ユニバーサルデザイン賞」が設置されてからである。ハートビル法、ノーマライゼーション、バリアフリーなどの呼称は、少数派といわれてきた領域を、デザインの対象にし…

ゆたかな社会[Affluent society]

第2次世界大戦後、特に先進国家は、貧困と不平等、さらには生活の不安から解放されたかのように、表面的には見えた。しかし、実情は、異質の問題をより多く抱え込むようになってしまった。これは、貧しい時代における生産性の向上などについて、古い経済学…

唯[Yui(Only)]

「唯」という言葉を定義しておくべきだろう。「唯我論」「唯物論」「唯識論」「唯心論」などの統治的頭文字となっている。「唯」という字は、「祝の器」の形象文字であり、承認や唯諾、保有の意味を古代より有していた。「唯一」という言葉は、まさしくこれ…

野性/Wildness, or wild nature

野性を定義するために、まず同音語である「野生」の意味を明確にしておきたい。「野生」とは生まれたまま、本能そのままの性質で教育や制度によって何ら変化しない状況・状態を意味している。「野性」は、自然のまま、本能のままの荒っぽい性質のことである。…

安らぎ/comfort,relaxation,peace of mind, serenity

現代人にとって、精神的、心理的、身体的に不可欠なものとなっている。身体的な生理安静状態を指し、最終的には人間の死を到達点とした言葉であるが、現代社会の人間にとっては、精神的/心理的な面での意味がひじょうに大きい。現代の人間はさまざまなスト…

やさしい/Kind,gentle,easy,generous

現代のおいては重要なキーワードとなっている。しかし,この平仮名表記の「やさしい」が、社会観念としては大きく誤用されていることを指摘しておきたい。漢字で表記すれば、「優しい」と「易しい」であり、この2つには,反対の事象を意味するほどの差異や対…

役割/Role

演劇用語の「役柄」から派生したものとも言われている。演劇のストーリーでの人物像、人格特性を意味している。そこから、現実の社会生活での、仕事の分担,資格・責務のあり方や割り当てという定義がなされている。社会生活での行動特性としての「役目」と…

薬品/medicines,drugs,chemicals

くすりのことであり、内服する医薬品である。外用薬、つまり皮膚に塗ったり、貼るものとは区別される。くすりと呼ばれるものには、医薬品のほか、化学薬品、農薬や薬剤などが含まれる。薬剤とは、くすりを調合したものを指す。化学薬品は文字通り、酸類、塩…

モバイル/Mobile

本来は、「動くもの」を意味する。例えば、ドイツ語では家具を、モバイルと同じ語源を持つメーベルと呼ぶ。ドイツでは家具とは可動性のあるものだった。移動の容易さが家具に求められていたということである。かつての日本でも、車箪笥のように。移動の便利…

もの/Mono(Japanease for "thing")

物・もの・モノと表現する。漢字の「物」は「勿(ブツ)」より派生した。「勿」は風になびくさまざまな色の旗を象形する漢字で、色が乱れてよく見えない微妙さを表し、そこからさまざまな色と形の「もの」の意となっている。「物」あるいは「物体」は具体的…

モード/Mode

もっとも一般的なのは、ファッションでの流行という意味である。これはすでにパロール的な言葉であるが、ラング的には流行の形式や様式という意味を持ち、そこから音楽用語の旋方や調律、音階という意味にも繋がっている。数学的な術語としては、資料数値を…

モックアップモデル/Mock-up model

本来は飛行機や大型機械類などの実物大模型のことである。しかし、今ではプロダクトデザインでの、形態(外観)模型の実物大だけでなくスケールを拡大・縮小したものなど、モデリング全般を指示する言葉として定着している。クレイや紙、木質系素材、発泡ス…

モジュール/Module

基盤となる寸法の事である。具体的には建造物やモノのスンポ基準の集合体の事を表す。そこから、ハードウエアやソフトウエアを構成する機能単位や交換可能な構成部分をという意味を持つに至った。これはシステムに対して界面性を持つ、つまりインターフェー…

メンフィス/Memphis

1980年に、イタリアデザイン界のリーダー、エットレ・ソットサスを中心に結成されたデザイングループ及びデザイン運動の名称である。ボブ・ディランの曲「メンフィス・ブルース・アゲイン」がソットサスのアイデア源であり、メンフィスという言葉そのものに…

メディアインテグレーション/Media integration

メディアに対する利用・応用、さらにその効果を合目的化・総合化することを、メディアインテグレーションと定義する。メディアの応用や表現手法に関してはメディアミックスやマルチメディアなど、数多くの言葉がある。特に1990年代には、マルチメディアとい…

メディア/Media

「アルゴナウタイ」というギリシア神話がある。この神話に、メデューサという悪魔的存在である女性が登場する。彼女は本来、神と人間との媒介者である。メディアは、この女性の名の複数形mediumが語源とされる。人間は、周囲との関係づくりのために、意味性…

メッセージ/Message

人間のコミュニケーションにおいては、送り手と受け手の間に介在させる「言語」もしくは「非言語」、つまり、身振りや音声さらには映像などが必要である。こうした「言語」や「非言語」をメッセージと呼ぶ。メッセージをどのように介在させるかにおいて、媒…

メタ/Meta

「超越した」「高次の」「〜の間の」という意味の接頭語である。「メタ言語」や「メタ理論」「メタメッセージ」などのようにもちいられる。ただし、この接頭語を使うことによって、定義や意図、本来の意味を恣意的に曖昧にできる便利な言葉でもある。 ここで…

ムーブメント/Movement

現在では日本語として定着している言葉である。主に政治的あるいは社会的な「運動」を表す。政治的・社会的な運動とは、ある仕掛けによって、民衆やその一部の人々の関心を高め、政治的・社会的な傾向や目標を成し遂げようということである。つまり、社会性…

無限/Infinity

有限の対概念であり、一般的には限り、限度、限定などがいっさいないことを意味している。哲学と数学における「無限論」という学術的な定義をもって、歴史的に構築されてきた言葉である。無言論には、一般的に理想的無限論と現実的無限論と、2つのこれも対と…

無関心/Indifference

関心がないこと。興味や注目、あるいは気にかけることが全く起こらないことを意味している。特に、近年では若者たちあるいは市民全体が政治に無関心であるというような使われ方が多い。それは政治や政治家たちへの尊敬が喪失していて、政治によって自分たち…

無意識/Unconscious

医学的に言えば、意識がない状態のことであり、脳障害もしくは循環機障害が主因である、しかい、この言葉が一般的になったのは、心理学者のフロイトによる精神分析の中心的概念としてであった。フロイトによる無意識に対しては3つの解釈ができる。積極的なと…

無/The unllifying prefix mu

物事があるかというときに、「無い」という否定である。例えば、無免許や無資格といったことが日常的に使われる。 その一方で、無は概念である。概念としてはとらえきれないと考えるが、西洋と東洋において、宗教的・哲学的・物理学的・数学的な観念として、…

民主化/Democratization

第一次世界大戦後、政治において市民生活でのあらゆる制度とその普遍性を正当化し、制度運営の評価を公準化する理念、思想および哲学が「民主主義」である。民主主義の世界的な公認、あるいは普遍化が、現在では全人類のコンセンサスであることは間違いない…

民衆/Common people

大衆や公衆、あるいは一般人とも呼ばれる。権力や名声を持たず、権力者や支配者ではない無名の大多数の人々を示す言葉である。日々働き生活を地道に過ごし、社会の基本構造を支えている集団の人々である。その存在は通常では歴史の表舞台に登場することはな…

民芸/Folkcraft

民の手による工芸品への美学的な価値観を示す大正時代に生まれた造語である。 わが国には、工芸と呼ばれる、「用と美」を兼ね備えた美術品ともなっている日常品があり、世界にも同様にfork-artやpopular-artなどという分野がある。 これらは美術品であり、つ…

未来学/Futurology

人は未来や将来がどうなっていくかという疑問を常に持っており、未来の予言・予知・予測を学術的に研究し、その成果を測ろうとしてきた。人口予測や経済予測、気象予測などがその代表例である。1960年代から、諸科学や学問の統合化によって、経済予測、ある…

ミュージアム/Musium

美術館や博物館といった、美術品などを収集し、整理し、陳列、展示する機関や建築物をミュージアムと呼ぶ。ミュージアム(museum)とは、諸学芸を司っていたギリシャの9人の女神たちムーサイ(Mousai)に捧げられた聖域を意味するムセイオン(Mouseion)に由…